行きたい悪路

インドのシムラから乗り合いジープで、ラダックのレーに向かうとロタンパスという渓谷を抜けて厳しい山路をぐんぐん登って行く。6月末の頃はまだ雪が道の両脇を抱え込む様に壁を作っていて、南から観光に来たインド人は半袖Tシャツに手袋をした手を窓から伸ばしてガリガリしながら歓声を上げている。全くそんな薄着ではあと30分もすれば震えが止まらない程冷えた道をノンストップで走り抜けで行くのに、と呆れる自分もまたその予想にちょっと笑顔になる。
窓の外は素晴らしい垂直の崖がしばらく続くのだ。庭園の原風景はこういうところなのではないかなと思うほど崖っぷちには美しい滝がながれ、ブロックを積んだ様な石の壁からはシダや少し赤みのある葉が茂ったり、垂れ下がる緑が実に美しくいい感じに広がっている。何処を切り取っても溜息の出る自然の造形美に見飽きることがない。
また見に行きたいと思う悪路だ。

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