2007年9月、飛行機、バス、電車、タクシーと乗り継いで30時間程の旅程でやっと辿り着いたのはインド西北部にあるダラムサラという小さな町です。翌日のTCV(チベット子供村)の学校創立記念日に、グランドに整列した2500人の子供達を見た途端涙が溢れて止まらなくなりました。

この子達のほとんどがあのヒマラヤ山脈を徒歩で、それも冬の夜の山を越えて子供達だけでここダラムサラ目指してやって来たという事実に、ガツンと頭を殴られたような衝撃を受けたのです。

私に一体何ができるのか、中学生の時からボランティアをして来ましたが、お金の寄付ではなく子供の将来に繋がる物を提供したいと考えました。 高度2000mを越える山に建つ学校をよく見ると、下の街から吹き上がる風の日は気管支炎の咳や鼻水を垂らす子が沢山保健室にやって来ます。

ところが山の上から吹き下ろす風の日はほとんど咳、鼻水の子供がいないのです。下から吹き上がる風はデリーの埃を巻き上げてダラムサラの町までやって来ることが分かりました。そしてもう一つ原因がありました。掃除です。子供達は全員寮生活をしているのですが、部屋は2段ベッドに3〜4人で一台のベッドを共有して使います。布団は何年も敷きっぱなしです。そればダメだよ、ということでまず上の段のベッドから布団や毛布を下ろして外に干し、箒や棒で布団を叩いて埃を落とし外に干しました。

寮母さんも子供達もビックリしていました。掃除は上から順番に、最後に床を掃除するということや、布団はたまには外に干すとか、雑巾がけもしようという、生活衛生を学ぶことがなかったのではないか、と気づきました。

そこから、掃除の仕方、身体のケアの仕方、応急手当て、とFirst Aidの授業をしたり、親子のコミュニケーションについて9年生から12年生までの授業をさせてもらうなど取り組んで来ました。

やらない、のではなくて、やり方を知らないのだということがわかると、チベット亡命政府が抱える微かな問題がみえてくるのです。みんな家族と離れて子供達だけで中国から逃げて来て、子供達だけの寮生活を送るのですから、親から学ぶことや、大人達から学ぶチャンスがとても少ないという問題が見えて来ました。

60年以上も自分達の生まれ故郷に帰りたいと望みながらインドに住み、コミュニティを作り、ダライ・ラマ法王だけを頼りに支え合って暮らして来た人々の為に何が必要なのか何年も取り組みながら、自主的にチベット人が参加し、仏様の慈悲を実践して豊かな愛を世界の命あるもの全てに還元出来ることは一体何だろうと考えていたところ、ダライ・ラマ法王の妹さんのゼツィン・ペマさんから3ヶ月インドに来てマッサージを教えて欲しいと頼まれたことが、私に大きな指標を示してくださいました。

私の持つ技術をこの人達に伝えて行きたいと覚悟を決めました。そして、彼らの住むインドの人々とも関わりながら人として支え合ってもらいたいと願い、17年目の支援活動にはいりました。

私の愛するダラムサラに沢山の気づきを貰いながら、チベット仏教のお経をお母さんのお腹の中にいる時から聴いているチベット人と僅かながら共に歩く時、私はこの地とチベット人が大好きなのだなぁと思うのです。

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世界中でご活躍の方々に、直撃インタビュー!という題名で取材していただき、記事と動画を作成していただきました。

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10歳の時から会いたかったダライラマ・時を経て夢は叶った!超未来的ダラムサラで町中が知っている「マッサージのおばさん」

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